7月28日「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」と付されたニュースがリリースされました。タイトルのとおり経営面でも地域貢献の面でも状態が芳しくない線区を公開するものでありますが、これを眺めて何の役も経たないことをグダグダと書き散らかしてみます。本件についても多数の有識者の皆様が卓越した知見を発信/配信されていらっしゃいますので、きっちりした情報をご希望される方は鉄道系発信者の情報をチェック願います。尚、本ブログで度々紹介させていただいている鐡坊主先生は現在帰国中でありまして、鐡坊主チャンネルのLIVE配信時にこの件をお話されましたが、アーカイブに残すには編集が必要のことですのでUPを待ちたいと存じます。
線状降水帯
この言葉が世間に知られるようになったのは2014年の夏ごろらしいのでありますが、今年も8月3から4日にかけて東北地方に現れたのでありまして、不幸にも多数の被害を出してしまいました。
被災された皆様にはお見舞い申し上げます。そして鉄道においても複数の線区が被災してしまいましたので、まずは被災線区をニュースリリースと照合しながら紹介いたします。尚、この件に関しては鐡坊主先生が鐡坊主チャンネルと暇坊主チャンネルにてそれぞれコメントを出されています。
JRではありませんがIGRいわて銀河鉄道(目時~いわて沼宮内)まで被災したとなると北海道からの農産品の物流が厳しくなりますのでいよいよひとごとではなくなってまいりました。
奥羽本線 No15
下川沿〜大館間(秋田県大館市沼館)において線路の盛土が流出したとのことで、即復旧は困難なようであります。奥羽本線の秋田以北は日本海縦貫路線を構成する線区でありまして貨物輸送も多いことから一刻も早い復旧が望まれると同時に即存廃の議論には至らないと思われます。但し、JR貨物とJR東日本及び荷主の三者間で復旧までの代替輸送と費用負担をどうするのかが問題となりそうであります。
米坂線 No61
羽前椿~手ノ子間の小白川橋梁が落下いたしまして奥羽本線よりも深刻な状況であります。復旧工事期間も費用も現在不明でありますが、米坂線の特に今泉~坂町間は災害前から利用客の少なさが問題視されておりましたので、復旧に当たってはJR側から上下分離方式を提案されてもおかしくない状況でありました。福島県は只見線の災害区間の復旧に当たり上下分離方式を受け入れましたが山形県にそれだけの覚悟があるのか否か注目であります。
磐越西線 No53
喜多方~山都間の濁川橋梁が落下いたしましてこちらもまた深刻な状況であります。磐越西線は電化されていた会津若松~喜多方間を非電化として、郡山~会津若松と会津若松~新津の二系統に完全分割し、運用の効率化を実施したばかりでありますが、米坂線同様に復旧工事期間も費用も現在不明でありまして、事と次第によっては福島県で2番目の上下分離方式が発生するかもしません。
JR東日本ニュースに記載されていた、今回被災した区間のデータをまとめてみました。詳細をどうのこうの言えるほどの知見は持ち合わせておりませんが、被災しなくてもこの数字でありまして、株主としては「厳しいなぁ。」と出るのは溜息ばかりなりなのであります。自然災害の激甚化、鉄道施設の老朽化、沿線人口の減少、今回被災した区間もまずは周辺道路の復旧が優先されるはずでありまして、誰がどう考えても鉄道事業の維持/継続は無理に見えるのですが、それでも沿線自治体の首長さんは鉄道を残せと仰せになるのでしょうか。?
以前も言及いたしましたが、行政としては鉄道よりも高規格道路の方が優先順位が高いはずでありますし、鉄道事業者側も地方のローカル線を無理に残して国が掲げるSDGsに逆らうよりは不動産開発やエキナカ事業に投資したいのでありまして、赤字ローカル線が入る余地が無いことは明らかなのでありますが。
大雨被害の続報
2022年8月13日現在、以下の路線における被災状況が判明いたしました。
No47 津軽線
津軽二股~大平の盛土流出・盛土崩壊事故
JR東日本から8月10日付けでプレス発表が
ありました。
No34 五能線
大間越~白神岳登山口の橋梁被害
No35 五能線
風合瀬~大戸瀬の道床流出
千畳敷~北金ヶ沢の土砂流入
陸奥赤石~鯵ヶ沢の橋梁(中村川鉄橋)傾斜
五能線については単独のプレス発表はありません。JR東日本から全体的な被害状況と復旧までの運行予定がプレス発表されています。
五能線は観光ルートでもありますので即存廃問題に直結するとは思われませんが、被災か所の多さと2020年度の赤字額:No34=15億2900万円、No35=13億1100万円を見ると復旧に当たりJR側から上下分離方式を提案される可能性がありそうです。
一方の津軽線でありますが、2020年度赤字額が5億7700万円で、こちらも額が小さいとは言え復旧費用によっては何があっても不思議ではない状況であります。
繰り返しになりますが、被災された皆様にはお見舞い申し上げます。
地方の鉄道にとっては受難/苦難の日々が続いてるのでありまして、鉄道好きにとっても鉄道150年を素直に喜べないないですねぇ。
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